NHK少年ドラマ『あなたの町』 佐藤 輝 出演記録
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『あなたの町』
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『あなたの町』の原作は当時かなりシュールな不思議な小説でした。
不条理劇やアングラ劇団が流行っていた頃で、生の舞台ではイメージが広がってそのエネルギーが劇場空間を満たしていく面白さを楽しんでいましたが、これがテレビドラマとなるとどうなんだろうと思いながら名古屋へ行きました。
丁度桜の季節。宿舎となった池下にあったNHK向陽クラブの前の小さな公園の桜も満開で、劇団の養成所では1期後輩だったケン役のテツ(大江徹)と花びらを浴びながらセリフ合わせをした。
ケンとヒロシが町からの脱出を何度も企ててはその度に町の人たちに阻止されるのだが、その一つに川を泳いで逃げ出すシーンがあった。ヒロシは鍋釜を背負って泳いだが結局は溺れてしまい失敗。
名古屋から北へ行ったような記憶があるがどのあたりだったろうか、土手に桜並木が続く川でのロケは小雨模様の天気だった。
当時としては珍しい水中カメラを使っての撮影は川船からカメラを沈めて撮った。モニターなどは無いわけだから場所を確認したり撮り直したりで時間が掛かる。春とは言え水温は低く冷たい。初めのうちは若さにものを言わせて「大丈夫です、そんなに冷えません」などと言っていたのだが、急に体の芯まで冷えて歯が噛み合わない程の震えが来た。顔色は無くなり唇は紫、ガタガタとこわばる体を震わせながらロケバスまで走った。エアコンの温度を最高最強にして、スタッフに手伝ってもらいながら急いで衣装を脱ぎバスタオルで包みマッサージをしたが冷えきった体は中々震えが収まらなかった。
翌日は撮影休みとなり、高熱を出した僕は向陽クラブの布団に臥して過した。あの時は向陽クラブ職員の板倉さん、塩月さんには大変なお世話になった。
町を挙げてロケに協力してくれた下之一色町も原作に劣らず不思議な感じの町だった。
僕にとっては舞台背景の書き割りに描かれているような現実感の薄い町に思えた。別役実さんの芝居の世界にいるような感じで過した。
もう海に間近く泥のように緩慢な川の流れは、漁協そばのコンクリート堤から眺めていると頭がぼうっとして眠くなった。
おばあさんたちが空の乳母車(今なら買い物カートか)を押しながら買い物に出掛けるのを初めて見た町。
盗んだ軽自動車をヒロシが運転してソロソロソロソロと町を脱出するシーン。当時、僕は運転免許を持っていなかったので、美術部の吉保さんが後部座席にハンドルを特設してくれて運転する芝居をした。(何故か普通車のハンドルだった)。これも結局、橋の真ん中で阻止されて交番に行ったのだが・・。
そういえばヒロシはドジばかり踏んでいたなあ。
夜逃げ敢行のシーンでも家財道具を背負ったヒロシが転んでしまってガラガラガッシャーンと派手な音。町の人たちが一斉に起き出して見付かってしうと言う設定だったが、この時に期せずして起った町中の犬の本息の遠吠えは演技賞ものだった。
シュールな番組のラストシーンもシュールだった。
歩いているケンとヒロシのアップからカメラが引くとそこは新宿駅東口の雑踏。
二人はその人込みに溶け込むように消えて行った。
2003.5.2 ヒロシ 佐藤 輝
左・ヒロシ(佐藤 輝昭・現 佐藤 輝) 右・ケン(大江 徹)
左から・ヒロシ(佐藤 輝昭) ケン(大江 徹) 池内巡査(二見忠男)
左・ヒロシ(佐藤 輝昭) 右・ケン(大江 徹)
ヒロシ(佐藤 輝昭)
左から・ケン(大江 徹
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、ヒロシ(佐藤 輝昭)
左から・ケン(大江 徹
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ヒロシ(佐藤 輝昭)
左・ヒロシ(佐藤 輝昭) 右・ケン(大江 徹)
左・ケン(大江 徹
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右・ヒロシ(佐藤 輝昭)
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