『ウェスト・サイド・ストーリー』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』に今回のこの『まくべっと』を加えてシェイクスピアの三大パロディが完結した ―――
小田島雄志
パニック・シアター海外作品シリーズ vol.25
ウジェーヌ・イヨネスコ◆作 中村まり子◆訳
中村まり子/田村 連◆演出
『まくべっと』
〜Eugene Ionesco:Macbett〜
『まくべっと』シーン 4 「おかしな負傷兵」 佐藤 輝の負傷兵 写真撮影:伊勢和人
2013年10月30日〜11月4日
下北沢「劇」小劇場
《出演者》
佐藤 輝・・・・・・・・グラミス・負傷兵・陳情者3・宴客1
中島久之・・・・・・・・カンドール・将校・宴客2
吉田賢太・・・・・・・・バンコー
田中孝宗・・・・・・・・マクベット
田村 連・・・・・・・・ダンカン
窪田 亮・・・・・・・・マコール
中村まり子・・・・・・・ダンカン夫人・魔女1
香坂千晶・・・・・・・・侍女・魔女2
田中 礼・・・・・・・・蝶々追い・レモネード売り
新谷 太・・・・・・・・兵士1・宴客3
長谷川勇司・・・・・・・兵士2・宴客4
吉岡大樹・・・・・・・・兵士3・宴客5
丸山彩智恵・・・・・・・小間使い1・陳情者1
垣田夕紀・・・・・・・・小間使い2・戦場の女・陳情者2
大島美佳・大森留依 +全員・・バーナムの森になる人々
《スタッフ》
美術:皿田圭作
照明:日高勝彦
音響:藤平美保子
舞台監督:植木英人
照明操作:山田慎輔
音響操作:中西 梢
写真撮影:伊勢和人
チラシデザイン:紙谷礼治
演出助手:大島美佳/大森留依
衣装協力:ザ・スーパーカムパニイ/窪田 亮
仮面製作:中村まり子
著作権代理:フランス著作権事務所
制作:菊地 廣 制作助手:川井麻貴
企画・製作:パニック・シアター
《協力》
劇団アルターエゴ/日高舞台照明/T.E.S./SPACE HIDAKA/田上事務所/
グループ・インパクト/スターダス・21/ザ・スーパーカムパニイ/
さち子プロ/ジャンクション/劇団俳優座
高津装飾美術・中村エリト/赤帽ナツヒロ/スタジオ アギラ・松田 彰
『まくべっと』は、
シェイクスピアの『マクベス』を、ルーマニア出身でフランスで活躍したイヨネスコがパロディにした『マクベット』の現代日本語版。つまり、まくべっとは、マクベスをもじった国王になる登場人物の名前です。
これぞ演劇なう!
最先端の現代演劇を体感したい方にはお勧めの抱腹絶倒ナンセンスコメディ。
痛烈な現代日本風刺が爽快。
こんにちの新しい日本語訳によって、生き生きと面白い、庶民感覚満載のコメディになっています。
パニック・シアターは、
1973年に井上ひさし作『天保十二年のシェイクスピア』(西武劇場)で佐藤 輝と共演し77年に佐藤が主宰する
劇団動物園公演ミュージカル『紅葉乱舞車達引もみじまうくるまのたてひき』に客演した女優中村まり子さんが主宰する演劇企画ユニット。
「大人の小劇場を!」をコンセプトに30年以上活動を続けており湯浅芳子賞を受賞するなど成果が高く評価されています。
『まくべっと』千秋楽 !
!
11月4日、毎回売切れの満席大入り、大好評のうちに無事千秋楽を終えました。
ご観劇くださった皆さま、ありがとうございました。
また、温かなお心遣いを頂戴しありがとうございました。御礼申し上 げます。
皆さまのご声援に支えられて無事に全ステージを終えることができました。
グラミス男爵、負傷兵、陳情者3、宴客1の4役を、この作品の中の登場人物として演じ分けることは楽しいことだった。
以下8枚の写真はGP(通し舞台稽古)の舞台写真です。撮影は伊勢和人さん。
シーン 1 「グラミス、カンドール、怒る」 マクベット(田中孝宗)とグラミス(佐藤 輝)
それぞれの役柄をしっかりと演じることがこの作品を支えること。
訳・演出の中村まり子さんの要請で「負傷兵」「陳情者3」のセリフを、僕が山形弁に直した。
シーン 4「おかしな負傷兵」 中央が負傷兵(佐藤 輝)
二つの役柄を考えて「負傷兵」は山形県でも西の日本海に面した地方の庄内弁にして、「陳情者3」は山形市を中心にした村山地方の村山弁にした。
シーン 4「おかしな負傷兵」 負傷兵の話す庄内弁に耳をそばだてる、左から兵士3(吉岡大樹)、兵士2(長谷川勇司)、兵士1(新谷太)、ダンカン王(田村連)、侍女(丸山彩智恵)、実は魔女のダンカン夫人(中村まり子)、実は魔女の侍女(香坂千晶)
シーン 4「おかしな負傷兵」 負傷兵(佐藤 輝)とダンカン王(田村連)
シーン 4「おかしな負傷兵」 負傷兵(佐藤 輝)とダンカン夫人(中村まり子)、兵士たち
庄内弁は北前船によって運ばれた京上方や瀬戸内の言語の影響が強い。
シーン 10「ダンカン暗殺」 村山弁で訴える陳情者(佐藤 輝)とダンカン王(田村連)
村山弁は北関東から福島弁宮城弁と続いている言語の流れ。
シーン 13「大詰め」 国王となったマクベット(田中孝宗)と宴客1(佐藤 輝)
シーン 13「大詰め」 バーナムの森になる人々 (以上8枚の写真は撮影・伊勢和人)
感激のご感想もたくさんいただきました。
その一つ、DEKOさんからのご感想メールを紹介させていただきます。
★
2013.11.1 DEKO
昨日(10月31日)は楽しかったです。
笑いながら、結構重苦しかったり、怖かったりしました。
声、眼、そして体全体を使っての役者さんの表現力というのはすごいものだと改めて感じました。
あっという間に目の前のスペースが異空間になってしまいます。
非日常の世界なのに、とても身近な、身につまされる物語に。
イヨネスコにしては(と言っていいのかどうかわかりませんが)合理的展開でしたね。
マクベス夫人を抜いたというのはすごいけど、騙される成り行きやその後の展開も、原作より納得できるような気がしました。
蝶々追いはイヨネスコ?それとも今回の演出?
違和感はありましたが、妙にワルツに合ってたり、雰囲気をだしてたり。
文楽での「テンペスト」も見たことがありますが、
シェイクスピアは、いじりがいのある劇作家ですね。
かぶりつきの真ん中特等席を取っていただき感謝申し上げます。
サンチョがまた見たいなぁ。
まだ公演の最中でお忙しいのは承知していますが、昨夜の興奮のまま書いてしまいました。
DEKO
★
嬉しいご感想、ありがとうございました ! !
ステキに洒落た白小菊の花束をくださったのは『チャングムの誓い』カンドック役で舞台出演した時に、韓国の宮廷料理やマッコリ、文化などについて助言をいただいた佐野良一さん。佐野さんは韓国料理や歴史に関する本を多数書いているイベントプロデューサー。
ご自分のツイッターに舞台の感想を書いてくださっている。
https://twitter.com/sano_ryoichi
直木賞作家の松井今朝子さんもご自身のホームページ「今朝子の晩ごはん」に嬉しい感想を書いてくださった。
「今朝子の晩ごはん」11月2日の「海老チリ、八宝菜、腸詰め、ピータンほか」の項。
http://kesako.jp/
この作品だからとか、この出演者だからとか、色々の思いをもってお客さんは劇場に来てくださった。
ダンサー金森勢さんとはひょっとして36年ぶりの再会 !?
まり子さんと一緒に、金森さんと嬉しい再会だった。
中村まり子さんとの出会いは1973年の井上ひさし作『天保十二年のシェイクスピア』(西武劇場)。テレビ『ピンポンパン』の体操のお兄さんで知られた金森勢さんもその時に一緒だった。
そして1977年に僕が主宰する
劇団動物園のミュージカル『紅葉乱舞車達引もみじまうくるまのたてひき』公演にまり子さんと金森さんに客演してもらった。
それ以来になる、金森さんとの再会 ! !
時を経て思う、人との繋がりのありがたさ。
元気でいるからこそ再会して喜びあえる嬉しさ。
この『まくべっと』に参加して、俳優として最も大切な日々新たな自分を発見すること、それを演技に生かして表現を深めること、このことをしっかりと求める気力と体力が自分の中に十分にあることを確認することができたのは大きな収穫
! !
次に向かってあらためて自信を持つことができた。
まだまだ現役俳優として頑張ります。
皆さんからの励ましが一番のビタミン剤です。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
輝 ☆彡 2013.11.11