サンチョの
ラ・マンチャ ガイド
文・写真 / 佐藤 輝 |
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ミュージカル『ラ・マンチャの男』のサンチョ・パンサ役を484回演じている
俳優・佐藤 輝が案内する『ドン・キホーテ』の舞台。スペイン、ラ・マンチャの旅。 |
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1)マドリー
Madrid 2)エスキビアス Esquivias 3)エル・トボソ
El Toboso 4)カンポ・デ・クリプターナCampo de Criptana 6)コンスエグラ Consuegra |
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(5)
アルマグロ
Almagro お城か旅籠か? ドン・キホーテ、サンチョの大論争 |
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ドン・キホーテが戦いを挑んだ風車があるカンポ・デ・クリプターナの丘から、南に延びる白く乾いた道の眺め。 カンポ・デ・クリプターナの風車の丘から見えた南に延びる白く乾いた道を40kmたらず、アルガマシージャ・デ・アルバ。ここも地元の人たちがドン・キホーテの故郷だと主張している村の一つだ。 セルバンテスがかつて投獄された『メドラーノの地下室』と呼ばれる地下牢があり、彼はここで物語の着想を得たのだと説明する。 村の公民館の中庭のような所にその入口はあった。階段を降りると土牢のイメージとは違って涼しく乾いている、そして無音。道路に向けて鉄格子の掛かった明かり取りと換気口を兼ねた穴が天窓のように開いているが閉所恐怖症でなくても気が滅入る。右に曲がった突き当たりに土を刳り貫いたベッド。この固い寝床でセルバンテスは何を考えていたのだろうか。 ラ・マンチャ地方では時々、道を横切って移動する羊の群れにであう。 アルガマシージャ・デ・アルバから北西に向かいN-4を経由して40km。プエルト・ラピセはキホーテが騎士の称号を受けた旅籠があったとされる村だが、セルバンテスが何度も泊まったという古い旅籠屋こそがそのものだと言わんばかりに『ベンタ・デル・キホーテ』と言う名前のレストランになっている。売り物は物語に出て来る当時の料理を再現したメヌー。 珍しく観光客が一人もいないバルのカウンターでエスプレッソで一息入れた。何か気配を感じてヒョイと横を見ると、すこし離れた椅子から男が一人、僕が足許に挟んで置いているカメラバッグをじぃっと見ている。こんな時、サンチョとしては何気ない顔をして早々に退散したほうが良さそうだ。サンチョの口ぐせ、諺に曰く「君子危うきに近寄らず」! スペインの料理はサンチョの口に良く合う 南南西に60km、古い街アルマグロ。 アルマグロのマヨール広場。暑い陽当たりと涼しい日陰。シェスタ(昼休み)の広場は静かだ。 アルマグロはドン・キホーテとサンチョが「城だ」「いや、旅籠だ」と言い合った所だと言われているが、そのモデルと言われる建物は見当たらない。その代わりに白い壁に緑の窓枠が北欧風の美しさを見せているマヨール広場に面してスペインで一番古い17世紀に建てられた劇場『コラル・デ・コメディアス』、直訳すると「劇の囲い」がある。 |
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小石をモザイク状に敷き詰めた屋根の無い平土間の客席を、屋根付きの舞台と三階建てのギャラリーが取り囲んでいる。パティオ(吹き抜けの中庭)が客席だ。白い壁と紅殻色の柱の組み合わせが美しい。 毎年8月には演劇祭が開かれ客席が満員になると言う現役の劇場。 「旦那が〜 好きなのさ〜」サンチョの劇中歌 を歌った。 |
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高速N-4が通っている南東のバルデペーニャスは最近リオハに並ぶ程に力を付けて来たラ・マンチャ・ビノ(ワイン)の中心地。大きな壺を道に並べたボデガが続き、ビノの良い香りが街を包んでいる。日本からも大手洋酒屋さんが買い付けに来ている。 ここから南に向かえば大きな峠を越えてフラメンコとカルメンとひまわりのアンダルシア地方だが、サンチョは北へ向かう。 |
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1)マドリー
Madrid 2)エスキビアス Esquivias 3)エル・トボソ
El Toboso 4)カンポ・デ・クリプターナCampo de Criptana 6)コンスエグラ Consuegra |
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