『まくべっと』開幕 ! !
昨日30日に初日の舞台を満席大好評で終えました。
温かな笑いと熱い拍手に包まれて。
本当に面白い芝居になりました。
終演後の初日乾杯でシェイクスピア学者の小田島雄志先生から「『ウェスト・サイド・ストーリー』『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』に今回のこの『まくべっと』を加えて『シェイクスピアの三大パロディ』が完結した」との絶賛の評をいただきました。そして「生きているうちにそれを見ることができて良かった」と嬉しい言葉が続きました。
訳・演出それにダンカン夫人と魔女を演じてこの作品をまとめて創った中村まり子さんの熱い思いと努力が実を結んだ舞台です。
乾杯後に、左から中村まり子さん、小田島雄志さん、息子さんでやはりシェイクスピア学者(早稲田大学教授)の小田島恒志さん、佐藤 輝。恒志さんは僕が演じている「グラミス男爵」の参考のためにと、ご自分が撮影された「グラミス男爵」の居城の写真をわざわざ持ってきてくださった。とても大きく立派な城
! !
9月末からの1カ月以上にわたる稽古で、台本から芝居が立ち上がっていく経過を久しぶりにつぶさに体験し見ることができて、僕のこれからの役者人生にとっても大事な作品になりました。
稽古場で。
ベテラン出演者の個性と演技力はもちろん、若い出演者たちもお互いに磨き高めあいながら、夫々のポジションで舞台を支える力を持てるようになったのは素晴らしいことでした。日々レベルが高くなるのに刺激されながら、僕も日々新たな自分を発見する役作りを心がけることができました。スタッフと共演者の皆さんに心から感謝申しあげます。
11月4日の千秋楽まで、今日も含めて7回の公演をより充実した舞台にしていきます。ご都合の付く方は、是非是非ご覧ください。
輝 ☆彡 2013.10.31
■2013年10月〜11月 佐藤 輝
出演
パニック・シアター海外作品シリーズ vol.25
ウジェーヌ・イヨネスコ◆作 中村まり子◆訳 中村まり子/田村
連◆演出
『まくべっと』
〜Euge Ionesco:Macbett〜
下北沢「劇」小劇場 TEL.03-3466-0020
(小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」南口下車 徒歩3分 )
2013年10月3 0日( 水 )〜11月4日( 月・祝 )
10/30(水)19:00 31(木)15:00
19:00
11/1(金)19:00 2(土)14:00 18:00 3(日)15:00 4(月・祝)15:00
入場料●全席指定 前売・当日共3,500円 学割(学生証提示)2,500円
出演 :
佐藤 輝/中島久之/吉田賢太/田中孝宗/田村 連/窪田 亮
中村まり子/香坂千晶
田中 礼/新谷 太/長谷川勇司/吉岡大樹/丸山彩智恵/垣田夕紀
『まくべっと』とは、
シェイクスピアの『マクベス』をフランスのイヨネスコがパロディー化した『マクベット』の現代日本語版。つまり、まくべっとは、マクベスをもじった国王になる登場人物の名前です。
これぞ演劇なう!
最先端の現代演劇を体感したい方にはお勧めの抱腹絶倒ナンセンスコメディ。
痛烈な現代日本風刺が爽快。
こんにちの新しい日本語訳によって、生き生きと面白い、庶民感覚満載のコメディになっています。
パニック・シアターは、
1973年に井上ひさし作『天保十二年のシェイクスピア』(西武劇場)で佐藤 輝と共演し77年に佐藤が主宰する
劇団動物園公演ミュージカル『紅葉乱舞車達引もみじまうくるまのたてひき』に客演した女優中村まり子さんが主宰する演劇企画ユニット。
「大人の小劇場を!」をコンセプトに30年以上活動を続けており湯浅芳子賞を受賞するなど成果が高く評価されています。
会場は演劇と若者文化の街・下北沢の「劇」小劇場。
出演者のかすかな息遣いも微妙な目の動きも観客のすぐ目の前です。存在感あふれる小劇場舞台の醍醐味とともに、街もお楽しみください。
美術:皿田圭作/照明:日高勝彦/音響:藤平美保子/舞台監督:植木英人
写真:伊勢和人/制作:菊地 廣(K・企画)/制作協力:川井麻貴(SEABOSE)
著作権代理:(株)フランス著作権事務所
協力:
劇団アルターエゴ/スターダス・21/ザ・スーパーカムパニイ/田上事務所/
ジャンクション/劇団俳優座
企画製作:パニック・シアター
夏はふるさと
24日に、この夏2回目の帰省をした。
数カ月前に、義母がお世話になっている山形の高齢者介護施設から、施設の夏祭りにゲストとして何か歌ってもらえないかとの依頼の連絡を貰った。
以前健康管理と体調チェックで長いこと診て貰っている呼吸器内科の先生に「佐藤さんが舞台で歌っているような歌を、機会があったら高齢者の皆さんに聞かせてあげてください。そして大きな声で歌うことを勧めてください。肺を強くし、心臓を強くし、明るく元気に暮らせるようになるんです。」と言われていたことを思い出し、スケジュールを確認してもらってOKの返事をした。
24日の夕方、会場の施設へ。
数日前でも秋田や新潟、仙台で雨模様の予報だったので、野外の予定は屋内に変更になるだろうとザンネンに思っていたが、明け方までパラついていた雨は日中には上がって真っ青な晴天に。
施設前の駐車場に特設ステージと、テーブルと椅子の観客席がセットされて、周りには夏祭りの定番焼きそば、焼き鳥、ヨーヨー、かき氷や綿あめなどの屋台。
施設の入居者とデイサービス利用者、その家族、それに近隣住民が客席に。
ケアマネージャーやヘルパーさんなど施設スタッフの皆さんが中々多芸の持ち主で、練習を重ねた歌や踊りやコント、クイズなどで楽しませてくれた。
僕は『ラ・マンチャの男』のファンファーレで登壇し、ドン・キホーテとサンチョ二役の歌を一人で歌い、会場の多くの人が知っている「♪
広き野を 流れゆけども 最上川 最上川 海に入るまで 濁らざりけり 濁らざりけり」、山形県民の歌『最上川』を会場の皆さんと一緒に歌った。僕は歌いながら、誘いに乗って一生懸命力いっぱい大きな声で歌ってくださっている入居者の皆さんの真剣な表情を見て不覚にも思わず声を詰まらせてしまった。
僕の俳優としての座右の銘は「毎日が初日(しょにち)」。
1カ月とか2カ月の長期公演でも、慣れに流されないで、初日を迎えた時の真摯な気持ちで毎日の舞台を務める、と言う心構え。その日の舞台に期待して劇場に来てくださったお客さんに、一番の出来の舞台を観ていただくのが俳優の仕事。それは、理想を求め続けるドン・キホーテの遍歴の旅に通じる。そして人生そのものが新しい今日と出合う「毎日が初日」。
そんな思いを語ってから『見果てぬ夢』を歌った。
思いが皆さんに伝わったようで、盛大な拍手をいただいた。
皆さんに聞いて貰えて良かった。またこんな機会があったら積極的に関わりたいと思える、満ち足りた気持ちになった。
これより1週間前には夏休みのお盆帰省をした。
山形の夏は花火と日本海の生岩ガキ
山形市西部、須川河川敷での山形花火大会。
日本海で獲れた生の岩ガキにレモンをたらして。山と海の滋味が甘いミルクのように口中に広がる。
夏バテ回復は庭で米沢牛焼肉パーティー
米沢牛も茄子も椎茸もシシトウも、安心の山形産。腹いっぱいの大満足。虫の音を聞きながら。
この夏のメインテーマは1984mの月山登山
雲の峯 幾つ崩(くずれ)て 月の山 芭蕉 (奥の細道)
羽黒修験道の聖地・出羽三山の主峰月山への登山は今回で4回目。
今までは羽黒山側の8合目からと、湯殿山からのコースを登ったが、今回は初めて夏スキーで知られる南側西川町からの姥沢コースを登った。
まず左前方に雪渓や白いコバイケイソウの群落が広がる姥ケ岳を眺めながらゆったりと上る姥沢からのリフトが気持ち良い。
足もとには靴底が触れるほどの近さに紫の色鮮やかなエゾオヤマリンドウなどの高山植物の花々とその花にたわむれる今まで見たことのない奇麗な縞模様の蝶々たち。
まるでお花畑の上を空中散歩しているような心地良さに大感激 !
リフト上駅から姥ケ岳への上り道。池塘が空を映し木道際にワタスゲが風に吹かれている。
姥ケ岳から金姥、牛首を経由して頂上を目指した。
姥ケ岳から金姥への下り坂。金姥で湯殿山コースと合流する。
牛首の手前、南側の斜面には雪渓と花々。
山頂の月山神社。
山頂直下、8合目に下る弥陀ケ原コースの始まりにチョット。
登山の疲れは蔵王温泉の共同浴場「川原湯」に浸かってさっぱりと洗い流した。湯上がりの夜風がなんとも心地良い。
登山といえば、28年前の8月、富士山登頂
今年、2013年6月にユネスコの世界文化遺産に登録されて、押すな押すなの登山者が押しかけている富士山。
28年前、晴天の1985年8月14日。
東京から50cc原付きバイクのゴリラで富士スバルライン富士吉田口5合目まで直行。そこから登山道を登り、夕方に8合目のトモエ館に着いて1泊。
15日早朝に山頂まで登って、茜色のご来光を拝んだ。
日の出を待つ間の夜明け前の寒さは体がガタガタ震えるほど。でも日が昇るにつれて気温は急上昇、薄い空気と寝不足も手伝って山頂で大の字になって眠りたい気分だった。
この日も好天に恵まれて眺めは良く、伊豆半島の山並みや西伊豆の海岸線を確認しながら時計回りに外輪山のお鉢巡りを楽しんだ。
後ろに見える富士山測候所は当時バリバリの現役測候所。
富士山山頂(標高3,776m)の最高地点「日本最高峰富士山剣ケ峰」の石碑近くで。後方には八ケ岳の峰々が連なって見える。
この富士山登頂の3日前、1985年8月12日夕刻に御巣鷹山に日航機が激突する大惨事があった。
ダッチロールしながら迷走した機内から、絶望感の中でこの富士の夕景を眺めた搭乗者もいたかも知れない。その心情を想像するだけで胸が苦しくなる。
多くの犠牲者の皆さんのご冥福を、あらためて心からお祈り申しあげます。合掌。
山形を食す
季節の変化が大きく、海、川、平野、山など自然環境が多彩な山形県は新鮮で豊かな食材に恵まれている。
昔からの伝統食に加えて、それらの食材を生かした山形ならではの新しい料理の店が育ち根づいていて、帰省の度の大きな楽しみになっている。
この夏も、喜び楽しんだ。
山形のそばは美味い。香り、歯ごたえ、のど越しの良いこと。なんといっても農家の居間で食べるような、太い田舎そばが大好き。
山形の「肉そば」の肉は驚くなかれ、とり肉。これが山形の常識。
それも冷たい肉そば。なのに脂っぽくなくこくがある。
こりこりと煮詰められた鶏肉と生そばの食感が口の中でミックスされて良い感じのハーモニーを奏でる。山形市から天童市に向かう漆山の道沿いにある「肉そば立花」。
山形県庁の近くにあるフランス料理のレストラン「ムッシュ・サトー」。
遊び心で盛りつけした繊細な味付けの定番料理に安心して納得する。
魚介7種のポワレとタラバ蟹の生春巻き。
天童市役所に近い「ビストロ パ・マル」。訪ねる度に新しい料理に出会える楽しみがある。
白鷹馬肉のカルパッチョとグルヌイユ(かえる)のフリット。
牛ミスジ肉のステーキ。さっぱりとした肉のうま味に塩味の利いたポテトチップスの相性がバツグン。
このシャキシャキシュルーと口の中で溶けていく冷たい食感が面白く、夏にぴったりのデザート。彩りも鮮やかなマンゴーとバジルのパルフェ。
山形の1週間の違いは季節を変えていた。クーラーをつけることも忘れて、明け方の肌寒さに震えて目覚めてあわててタオルケットを探した。
3.11東日本大震災被災者と福島原発事故の被害者皆さんの、2年半も経つのに救われることなく今なお続いている苦しみ、将来への不安を想像しながら『まくべっと』の台本を読み返していた夏休み。
輝 ☆彡 2013.8.29
☆に願いは・・・
下北沢の南口を出てすぐ真ん前のビル、太郎ビル3階にあるOFF・OFFシアターで素晴らしい感動の舞台を観た。
僕が10月に出演する『まくべっと』を訳・演出し、あの魔女役で出演する中村まり子さんの作・演出。そうした関係を抜きにして、素直に本当に深く感動した作品。
劇団アルターエゴ公演『八月の家族へ』。
人の命と少しでも関わりを持って生きている人ならば誰もが感動せずにはいられない、深くて重くてデリケートなテーマを、異次元に生きている登場人物同士のリアルな関わりによってある時は軽妙に、繊細緻密に見せてくれた奥行きのある秀作。
男には書けないだろう女性なればこその生命感覚も鋭く、男の僕の胸にはキリキリと響いた。それをはっきりと作品として表現できたことに熱く拍手を送った。
終演後に、『まくべっと』でまり子さんと魔女コンビを組んで出演する
香坂千晶さんも一緒になって、台湾料理を食べながら呑み会。
香坂さんとは初顔合わせ。とっても気さくな方(後日補足:ブログを読んで持っていたイメージと比べたら、おしとやか ! ! )で、『八月の家族へ』の感想や『まくべっと』の準備のことなどを話して、初対面とは思えない盛り上がりの楽しい時間を過ごすことができた。
この雰囲気だと『まくべっと』の稽古も順調に進みそう !
古米の残りがあったので雀に食べてもらおうかと、いつもは文鳥の配合飼料の残り餌を入れていたバルコニーの鉢皿にまいておいたのに、配合飼料は食べていた雀たちが米には見向きもしなかった。米を食べない雀たちにびっくりした。
かつて雀は米を食べる稲作最大の害鳥とされ、秋の実りの時期になると農家では雀を捕まえて調理して食べていた。
10数年前のバルコニーでは、雀がごく普通に米をついばんでいた。
それが今の雀は、配合飼料でないと餌とは思わないようなのだ。雀の食生活も時代に合わせて変わっていることに驚いた。そりゃぁ、今どきは犬も猫も、人の残飯や味噌汁を食べている姿を見ることがないものね。雀だって、当然でしょ? か。
7日になってようやくバルコニーの竹やぶに恒例の七夕の願い短冊をつるした。
ほっと一息ついていると、いつもやってくる小柄で痩せた胸前がくっきりと黒いスズちゃんが一度は手すりに止まったのに、目が合った途端、おっとっとっとUターンして行ってしまった。
夜、スカイツリーの展望台が遅くまで特別な照明で明るくなっていた。
西空中空に、ぽつんと星ひとつ。
まくべっとが成功するように願った思いは届いたただろう、きっと。
輝 ☆彡 2013.7.9
ふぅううん〜 ! あまぁ〜い・・・!
今年のバルコニーは、バニラの、あまぁ〜ぃ〜、い〜い香り!
これも大事に育てている一鉢のクチナシが今年も見事に花を咲かせて、直径30センチほどの鉢植えなのにこの20日間で100個以上の花を次々と咲かせ続けている。
トイレの芳香剤などと形容されることも多いクチナシの香りだが、今年は特に甘さがエレガント!
夜の闇の中でこの香りに会うと、なお一層ロマンチックな気分になる。
あの角、曲がれば夜がある
いつか、誰かと、愛しあう心と心
二人だけの夜
くちなしの花の香りにひそんでる
甘いときめき 甘いささやき
劇団研究生だったころに、新宿の小さな飲屋の二階でギターをつま弾きながら歌った歌を思い出す。
バルコニーではネジバナも満開。
螺旋状にねじれて下から上に向かって5ミリにも満たない小さな花が咲き上がっていく。まるで氷砂糖で細工したようにキラキラ輝く花の形は、立派に蘭の花。
日本の野っ原に群生して自然に咲いているネジバナはれっきとしたラン科の野草。
今年咲いた我が家のネジバナはたった1本、それが今まで見たこともないほどに密に、ネジバナの見本のようにくるくると姿が良い。
それに、ホオズキ。酸漿とか鬼灯と書く。鬼灯が好きだ。
1鉢4本の株に今年は見事、大小10数個の鬼灯の袋を実らせた。色はまだ薄い緑色。これが徐々に朱色に染まり、その中に真ん丸い朱色の実をつける。
子供の頃はこの実を柔らかくもみほぐしてから種を取りだした後に息を吹き入れ、舌の上に乗せて上あごで噛むようにして中の空気を押し出して、ぎゅぅー、ぎゅうーと音を出して遊んだものだった。僕はへただった。
実を採らないままで冬になると、袋部分の葉脈だけが残ったその中に朱色の丸い実が残って、その姿も趣があって僕は好きだ。
真夏の入道雲に移る前の、梅雨の中休みのスカイツリー。
久しぶりに、のんびりと眺めた。
10月に公演する『まくべっと』のストーリーや役柄を、のんびりの頭の中で縦にしたり横にしたりして遊んだ1日。
こんな日もまたステキだ。
輝 ☆彡 2013.6.28